AI・データの利用に関する契約ガイドライン

経済産業省は、民間事業者等が、データの利用等に関する契約やAI技術を利用するソフトウェアの開発・利用に関する契約を締結する際の参考として、契約上の主な課題や論点、契約条項例、条項作成時の考慮要素等を整理した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」を作成し、あわせて、本ガイドライン(案)に対する意見募集の結果を取りまとめました。
経済産業省


1.背景・経緯

IoTやAI等の技術革新によってデータが爆発的に増加するに伴い、事業者間の垣根を超えたデータ連携により、新たな付加価値の創出や社会課題の解決が期待されています。他方で、データやAI技術を巡っては、契約実務の蓄積が乏しいこと、あるいは当事者間の認識・理解のギャップがあること等により、契約の締結が進まないという課題があります。

こうした課題に対し、経済産業省では、2017年5月に「データの利用権限に関する契約ガイドラインVer1.0」を策定しましたが、その後も事業者・事業者団体等からのご意見を踏まえ、AI・データ契約ガイドライン検討会(座長:渡部俊也教授)を設置するなど、抜本改訂を進めて参りました。そして、データの利用に関する契約類型の整理・深堀やユースケースの充実等を図るとともに、新たにAI開発・利用に関する権利関係・責任関係等の考え方を追加した「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(案)」を策定し、平成30年4月27日から5月26日までの間、意見募集を行い、22件の意見提出を頂きました。

今般、いただいた御意見を踏まえ、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」を作成し、あわせて意見募集の結果についても取りまとめました。

2.ガイドラインの概要

本ガイドラインは、データ編とAI編とからなります。なお、本ガイドラインは、いずれも当事者が契約で定めておくべき事項等を参考として示したものであり、実際の契約に当たっては、本ガイドラインを参照しつつ個別事案に応じて契約を作成することが期待されます。

  1. データ編

(1)目的
データ契約について、類型ごとに主な課題や論点を提示しつつ、契約条項例や条項作成時の考慮要素等を示すことで、契約実務の集積の乏しさに伴う取引費用を削減し、データ契約の普及を図り、ひいてはデータの有効活用を促進することを目的としています。

(2)本ガイドラインの対象
読者としては、契約に関係する全ての者(事業者の契約担当者のみならず、その事業部門、経営層、データの流通や利活用に関連するシステム開発者等を含む。)を幅広く想定しています。

(3)概要
本ガイドラインでは、データ契約を、「データ提供型」、「データ創出型」、「データ共用型(プラットフォーム型)」の3つの類型に整理し、それぞれ構造、主な法的論点、適切な契約の取決め方法等を説明しています。また、データ提供型とデータ創出型に関して、主な契約条項例を示しています。

  1. AI編

(1)目的
AI技術の特性や基本的概念について解説するとともに、AI技術を利用したソフトウェアの開発・利用契約を作成するに当たっての考慮要素、トラブルを予防する方法等について基本的な考え方を提示することで、開発・利用を促進することを目的としています。

(2)本ガイドラインの対象
大企業から中小企業まで、大手ITベンダからベンチャー企業まで、全ての企業を対象としています。

(3)概要
本ガイドラインでは、まずAI技術の基本的概念やAI技術を利用したソフトウェア開発の特徴について解説しています。そして、開発契約については、開発プロセスを(1)アセスメント段階、(2)PoC段階、(3)開発段階、(4)追加学習段階に分けて探索的に開発を行う「探索的段階型」の開発方式を提唱し、それぞれの段階における契約方式や契約の考慮要素、契約条項例を示しています。

関連資料

担当

商務情報政策局 情報経済課長 松田
担当者:安平、山本
電話:03-3501-1511(内線3961~3)
03-3501-0397(直通)
03-3501-6639(FAX)

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